2012.09.19 Wednesday
本:ケルトを旅する〜イギリス・アイルランド/永田嘉文
今年年初に発行されたエリア・スタディーズというシリーズ本の1つ。島のケルトと言われるアイルランドとイギリスのケルト文化と音楽に関して書いてある。しかし、読み終わった時には中途半端なイメージしか残っていない。 前半はケルト地方出身の音楽で特にフォーク・ミュージックに書かれている。ここで先ず記述がおかしい所がある。私がファンであるRunrigについてである。彼らがゲール語での歌をやるきっかけがCalumだけなのである。勿論彼も結成時のメンバーであるので間違いではないが、兄のRoryが一切出てこない。RoryとCalumがゲール後の歌に取りかかったのは同時で、グループ結成も一緒である。Roryはその前の高校時代にSkyeverと言うポップバンドもやっていて、今も音楽的リーダーはRoryである。他のミュージシャンは詳しくはないが、この点で、全体的に信用できる内容でなくなっている。
ウェールズのアイステズヴォッドについては詳しく書かれているが、スコットランドの似た様なケルト文化の祭典・コンテストMod(モウド)に関しては全く触れられてもいない。こちらは100回以上は続いているもので、LocalとNationalがある。他にも冬にはケルティック・コネクションも行われている。明らかに調査不足と思われる。また、夏のエジンバラ・フェスティバルもInternationalとFringeをまとめて書かれている。Fringeは小劇場などと大道芸でのパフォーマンスがメインである。
マン島には少し触れられてはいるが、あくまで観光的な内容で、詳しくは書かれていない。資料も出展が不明。この本が音楽についての記述もあるにもかかわらず、Manx Music Festivalについてはない。書かなかった方が良かったと思えたくらいだ。
そして、読み終えた時、コーンウォールがない事に気づいた。Hadrian WallやLondonを付け足した割に、Englandのケルト地方と言われるコーンウォールがないのである。Cornishの方々に失礼だ
と言うことで、中途半端な本という感想が残った訳だ。音楽と文化は切り離せないが、これだけ半端な書き方だと、音楽だけと各地に残る文化を別々の本にした方が良かったのではないかと思われた。私にとってはこの本は単なる読み物で、資料としての扱いはない。即、手元に置かない玄関の本棚へしまい込んだ。資料として扱うものは机の横の本棚に置いている。すぐに参考にしたいためだ。その割に、2000円と高かったなぁ…
| taigh's owner | ケルト | 14:43 | comments(0) | trackbacks(0) |